「あるあるカン違い」を乗り越え物流の持続可能性を勝ち取ろう!

物流ジャーナリスト・キクタの連載コラム<あるある! 物流カン違い
物流分野に漂う22の勘違いを正す!

(2026.1.15)

好評裡にお届けしてきた「物流あるある!カン違い」、ここまででいったん<シーズン1>を終え、区切りをつけることにした(続編<シーズン2>の準備も整っており、最後にご案内する)。ここでは前回まで21件のカン違いを振り返り、コンパクトに要点をまとめ一覧にしておく。各回記事のURLも付したので必要なテーマをすぐ再読でき、便利かと思う。これらを見渡してカン違いの黒雲をすべて払えば、物流の未来にクリアな視界が広がるはずだ。
ただし「面白かったね!」だけで行動なしに終わることは、「22個目のカン違い」と言わねばならない。これらを皆さんの日常業務と思考の中で現実に正し、乗り越えることで初めて、「物流を持続可能に!」という大目標の達成が見えてくる。そのためにこそ、活用してほしい。

 https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column
問題の契機であるドライバーの時間外労働時間制限の「年間960時間」の「年間」とは、いつからいつまでか? 実は4月-3月と決まっているわけではなく、起算日は事業者ごとの労使協定によって異なる。それぞれの「年度末」を前に、「あれ? もう960時間を超えそうだ!」と気づき、本当の危機が顕在化するのは2024年でなく、「2025年」なのだと喝破した。

 https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column02
24年4月、ついに「物流2024年問題」が始まったと巷は大騒ぎ。でも「そもそも、なんで問題になってるの?」との素朴な問いから「なぜ運賃を上げてもらえないの?」と「なぜなぜ5回」を掘り下げ。実はその奥深い原因の1つは、昭和の軍隊に浸透していた「物流軽視」の考えが、今日まで産業人の意識下にこびりついてきたことではないかと推理。歴史を100年さかのぼって「真因」の1つを焙り出した。次項と合わせ、ぜひもう一度読んでほしい。

 https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column03
「荷役」はJIS 0111物流用語に明示される通り、「にやく」と読むのだが、これを「ニエキ」とカン違いして読む人が今なお多いのに憤って書いた。「役(エキ)」を辞書で調べてみると、『人民に割り当てるつらい仕事。労働や戦争などの務め。「役務/課役・苦役・軍役・現役・雑役・就役・退役・懲役・服役・兵役・労役」「戦役」。こき使う「使役」。(出典 コトバンク)』とある。「人民につらい仕事が割り当てられた」のは、前項の100年前どころか1000数百年前、古代の大和朝廷前後の話である。私たちは「荷役(にやく)」を「荷役(ニエキ)」にしてはならない!と誓いを込める意味でも、「にやく」と読むべきなのだ。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column04
改正物効法で特定荷主等に設置が義務付けられる「物流統括管理者」の役割規定を見ると、現場オペレーション階層の仕事が主対象であるのに、関連文書には「物流統括管理者(CLO)」と書かれていることを問題視。「ロジスティクス」の役割は物流、調達、生産、販売、回収等の機能を統合し需給適正化、顧客満足、社会課題に対応すること(JIS物流用語に規定)であり、戦術・戦略階層の経営管理マターだ。このままではロジスティクスの核心的役割をもたないロジスティクス最高責任者、というおかしな規定にならないか?とアラームを発した。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column05
この当時すでに、「DX」の語はバズワード化してカン違いが巷に溢れ、混乱を呈していた。だからこそ原点である経済産業省の「DXレポート2」(2020)の定義に立ち戻るべきと説いた。
合わせて強調したのは「そのDXは何のため?」という目的、原点の認識が不可欠なこと。「競争上の優位性確立」のためにはCX(Customer eXperience、顧客体験)の変革が必要だが、同時にEX(Employee eXperience、従業員体験)を変革しなければ、超・人手不足時代の事業は持続可能でない。さらに、社会課題の視点からGX(グリーントランスフォーメーション、脱酸素で地球温暖化阻止)の視点も不可欠だ。
以上から、結論を、「DXの目的は、生産性・利益の向上に加え、CX・EX変革とGXである!」とした。末尾に「社長のDXあるあるカン違い」も載せてあるので復習してほしい。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column-06
最近、SDGsへの注目度が落ちているのを憂えて執筆。17の持続可能化開発ゴールを2015年から2030年までの間に達成しよう!と世界で決めた戦いは、前年に折り返し点を過ぎたばかり。物流や働く人の環境を含む①経済、その経済がよって立つ②社会も、全ての存立基盤である母なる③地球の「環境」を守らなければ持続可能でない。物流分野で上記のGX/CXを追求することは、SDGs8=働きがいも経済成長も、SDGs13=気候変動に具体的対策を、他のゴールに直結する。改めて、「物流でもSDGs」達成に挑もう、と呼び掛けた。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/ogistics-column-07
人手不足の昂進で、トラックドライバーも物流現場作業者も正社員も、厳しい採用環境に突入した。だが給料を上げれば人手を確保できる、と考えるのは安易なカン違い。多少給料はよくても、人がいつかない職場がある。その決定的な要因の1つは、広義の「心理的安全性」の有無だと力説した。仲間と上司が信頼でき、何でも話せる職場環境でこそエンゲージメントが確保でき、従業員が定着してくれる。具体的項目を挙げてあるので参照してほしい。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column08
現場の人手不足を補う生産性向上の手段として、大型マテハンより手軽に導入できる物流ロボットが注目されている。代表機種を紹介したうえで、「ロボットを入れれば即、解決!」という安易な考えはカン違いだと指摘。物流波動や気象ほか、日々変化する条件にオペレーションを対応させて、初めてロボットの機能は活きる。そのためには管理者が執念で稼働率最適化への調整努力を続けねばならない。逆説的だが、導入後の物流ロボット運用最適化のカギは、ロボットそのものよりむしろ、「人」の執念だと主張した。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column09
物効法の施行で約3200社の特定荷主が物流統括管理者(≠CLO)を設置せねばならない。残り1年余となった執筆時点で、そんな人材をどう育てるのか? 必要な資質は? の問いからあるべき論を展開。すでに多様な人材育成プログラムがあるから「大丈夫っしょ」という認識を「カン違い」とし、従来のプログラムに欠落している「人格陶冶」の必要性を説いた。
 超・人手不足時代の物流リーダーに求められる最重要資質は、現場から中間管理職まで幅広い部下たちに「この人ならついていきたい!」と頼られ、心理的安全性を保ってエンゲージメントを高められる「人格」ではないか? CLOなら、社内トップ層や他部門、社外の関係者に信頼される「人間力」。知識・能力だけでは足りないと思うのだ。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column10
物効法で荷待ち・荷役「2時間ルール」の言葉が独り歩きし、「ウチの倉庫で<2時間以内>でいいんだよね?」とのカン違いが広まっていたので警鐘を鳴らした。
政府解説文書には「1運行当たりの荷待ち・荷役等時間が計2時間以内」とある。この「1運行」とは、「発・着合わせて」という意味なのだ。あちこち取材し確認したところ、「発で1時間以内/着で1時間以内=1か所で1時間以内=合わせて2時間以内」が求められていることが分かった。だから、「ウチの倉庫では、1時間以内」を目指さねばならないのだ。今もカン違いし続けている人がおられないことを祈る。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column11
日本の経営者は「現場力」「現場カイゼン」が大好きである。ところがそこで思考停止し、「現場力頼り」に走る危うい傾向があることを、カン違いと指摘。「戦略(ストラテジー)/戦術(タクティクス)/実行(オペレーション)」というビジネス遂行3層の、決定的な「レイヤー/使命の違い」を経営者が軽視・混同した結果、本来なら「経営力」で革命的変化=トランスフォーメーション:Xを遂げねばならない時に、のんびりと「現場カイゼン」でお茶を濁してきたことが、失われた30年の一因ではないのか。提示した「実行/戦術/戦略のレイヤーと物流・ロジスティクス改革の対照表」はその後第18回で改訂版を出したので、合わせてご覧いただきたい。

https://www.okabe-ms.co.jp/support/knowledge/logistics-column11
日本の経営者は「現場力」「現場カイゼン」が大好きである。ところがそこで思考停止し、「現場力頼り」に走る危うい傾向があることを、カン違いと指摘。「戦略(ストラテジー)/戦術(タクティクス)/実行(オペレーション)」というビジネス遂行3層の、決定的な「レイヤー/使命の違い」を経営者が軽視・混同した結果、本来なら「経営力」で革命的変化=トランスフォーメーション:Xを遂げねばならない時に、のんびりと「現場カイゼン」でお茶を濁してきたことが、失われた30年の一因ではないのか。提示した「実行/戦術/戦略のレイヤーと物流・ロジスティクス改革の対照表」はその後第18回で改訂版を出したので、合わせてご覧いただきたい。

https://www.okabe-ms.co.jp/logistics-column13
荷待ち・荷役時間の短縮に直結するテーマのため、先進企業が取り組みを開始した「ノー検品化」に言及される機会が増えてきた。「そんなこと、夢物語。ムリに決まってんじゃん!」という認識がまだ一般的かもしれないが、それは間もなくカン違いの昔話となる可能性がある。
所有権の移転を伴う重要業務であるから長年にわたり試行錯誤と検証が続いていたのだが、ようやく実導入が開始された「ASN(Advanced Shipping Notice、事前出荷情報)による納品時の検品レス化」について、実態をレポートしている。

https://www.okabe-ms.co.jp/logistics-column14
25年度に入り、「物流2024年問題!と騒いでたけど、それほどでもなかったね~」という声があちこちから聞こえた。そこで政府が「このままでは2024年に輸送能力が14.2%不足する」とした予測値まで、実際には悪化しなかった原因を、①2024年に2019年並みの物量が回復しなかったこと、②荷主と物流各社の努力の成果、という2点で説明。
ただし、今後さらにドライバー数が減る中で十分対策が取れなければ、2030年に輸送能力の34.1%が不足する「2030年問題」が惹起する可能性は消えていない、と警鐘を鳴らした。

https://www.okabe-ms.co.jp/logistics-column15
「いいや、それはカン違い。波動の山崩しの工夫は、ある!」と実例を挙げて解説。物流効率化・最適化への最大の武器は、「物量の平準化」と「物流の標準化」であること、それは不可能ではないことを、手法と合わせて力説している。

https://www.okabe-ms.co.jp/logistics-column16
「せっかくバース予約システムを入れたのに、効果が出ない。みんな使ってくれないんだよ」という倉庫会社の社長のつぶやきから、荷待ち時間短縮の切り札・バース予約システム運用のカン違いを回避する、勘所を解説。結論は、「バースの予約率向上に向けて、地道にドライバー、運送会社への周知、利用への働きかけを頑張り続けること」。その結果、ある月から突然、予約率が跳ね上がり出したという実例を紹介している。

https://www.okabe-ms.co.jp/logistics-column17
筆者は地球温暖化・沸騰化の抑止のため物流分野でできる取り組みとして、「日本のすべての倉庫にソーラーパネルを!」と訴えている。そのハードルとなる、高いイニシャルコストでの購入負担なしに利用できる、オンサイト/オフサイトPPAの手法を紹介。100%再エネ電力供給を目指す新電力会社GPP社の挑戦から、「再エネ電力の地産地消」の先進事例も紹介した。

https://www.okabe-ms.co.jp/logistics-column18
三度(みたび)、CLOの役割について考えた回。執筆時点で2026年度の法施行まで半年と迫っていた。第4回コラムほかで指摘した物流統括管理者≠CLO?いかんについては未確定のままながら、現行の物流統括管理者の役割規定でも、オペレーションを担当する物流部長の役割範疇を大きく凌駕していることを明示。「物流部長を昇格させりゃ、いいよね?」という安易な判断はカン違いだと断じている。

https://www.okabe-ms.co.jp/logistics-column19
注目の物流ロボットだが、「高価だからムリ!」という声も多い。ところが最近は物流ロボットに係るスタートアップ企業が頑張っていて、案外な低負担で使えるプランが出ている。確かに高価で中小には手の届かない大規模物流ロボット導入事例と対照させ、「高くてムリ」との認識を過去の「あるあるカン違い」にしそうな、いくつかの魅力的な低額プラン例を紹介している。

https://www.okabe-ms.co.jp/logistics-column20
物流現場は一般に自己決定権がなく、製造や流通の都合次第で、要求を粛々と受け入れる受動的立場にあったから、「科学的管理なんて、できるわけがない」と思われがちだ。ところが筆者は、大阪の総合食品商社・泉平(いずへい)の物流部門が、全4拠点で38ものKPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)、KGI(Key Goal Indicators、重要目標達成指標)管理を実施していることを聞き驚愕。取材成果をまとめ、「物流を科学するなんてムリ!」がカン違いであることを示した。なぜそんなことが可能なのか? ぜひ学んでほしい。

⇒ https://www.okabe-ms.co.jp/column2025-21
何度も触れた「特定荷主の物流統括管理者選任」だが、物流事業者の皆さんが「ウチは荷主じゃないんだから、そんなの関係ないよ!」と考えるのは、カン違いだ。本法は結果として、「物流事業者が荷主の物流統括管理者とともに、物流の機能改善に取り組み、水平・垂直連携に緊密に連携する」ことを求めていると主張。むしろ物流専門家の立場で、物流統括管理者のパートナーとして一歩進んだ提案を行うなど、受動的・従属的な物流会社から、能動的なソリューション提供企業へと脱皮するチャンスがそこにあるのだと訴えた。

*    *    *    *    *    *    *

……以上、筆者は21の「カン違い」視点から、逆説的に、あるべき物流改革の方向性を浮かび上がらせようと書いてきた。賢明なる読者諸氏には、以上を参照メモとして活用し、この国の物流をさらなる高みへと導いていただくことを心から期待している。

(シーズン1おわり)



著者紹介

菊田 一郎 (きくた いちろう)
エルテックラボ 代表/物流ジャーナリスト。1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体理事等を兼務歴任。2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスした著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。2017年6月より大田花き社外取締役、2020年6月より日本海事新聞社顧問(20年6月~23年5月)、同年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル顧問。
著書に『先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える』(白桃書房、共著)、『ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」』(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。


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